建設業許可とは…

建設業許可(総論)

第3条 建設業を営もうとする者は、…..(省略)….営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。(抜粋)

建設業許可の必要性はこの建設法によってこのように規定されています。

建設業を開業、独立を考えるうえで建設業の許可を理解しておくことはとても重要なことです。

なぜなら、許可のないままもしくは許可の更新を失念して建設業を営業すると違法行為となり3年以下の懲役または300万円以下の罰金の罪に問われます。(建47)

また、営業停止や営業禁止の行政処分が処される場合もあります。

一般人が医師免許もないのに医療行為をすること等と類似することと考えます。

なぜなら、不完全な建設工事はことによっては多くの人命を危険にさらすこともありうるからです。

そしてまた、建設工事は単価が高くまた取り返しがつかないことなど技術が未熟な業者による不良な工事の損失は計り知れません。

それゆえ、法律で定める規模以上の工事を無許可業者が行うことを厳罰化したものと考えられます。

もう一度繰り返すことになりますが建設業の許可を理解することはとても重要だと考えます。

しかし、建設業許可はかなり細かく難解です。

そして、一般世間に存在する許認可(例えば飲食業の許可)のイメージとは少し異なり業者の理解を苦しめます。

それは厳しく許可要件を設定し注文者や下請業者あるいは公共の利益を守ろうとする思いと過度の要件により人手不足の建設業界の参入を妨げたくない思いの微妙な調整を図ろうとするものだからだと思います。

前置きが長くなりましたが、業者の方は覚えこむ必要はありませんが頭の片隅にぜひ置いておかれると安心です。

建設業とは

ある一定の条件下(後述)、建設工事の完成を請け負うには許可が必要だと建設業法で書いています。

では、まず建設工事とは何なのでしょうか?

大型の船舶の製造に建設業許可は必要でしょうか?

あるいは建設現場の警備は建設工事なのでしょうか?

そもそもあなたのしようとしている業務は建設業許可が必要なのでしょうか?

残念ながらこれと明確に規定された法律、通知などは見受けららないように思われます。

しかしだから適当に扱うわけにも行けません。

通説では

土地や土地に固定された工作物(大小問わず)を建設したり、変更したり、解体したりすることを建設工事と考えているみたいです。

つまり、上記の例は建設業許可は必要なくまた建設業法の枠組みには当てはまらないということになります。

ただ、どうしても迷うような場合は行政(都道府県また国)に問い合わせ確認することが必要です。

建設業許可は2つの区分によって分けらる

タイトル通り建設業許可は2つの区分によって分けられます。

ちょっと難解な物言いですがついてきたください。

営業所を設置する場所的な区分

1つ目の区分は営業所を1つの都道府県内だけに設置するのか(設置する営業所の数はいくつでもいい)、またそれを超えて(2つ以上の都道府県)営業所を設置するのかの場所的な区分です。

これは建設業者の監督権があいまいにならないようにするためのものだと考えられます。

つまり営業所が設置された都道府県が監督することが原則とされるものの、多数の都道府県が重なって設置された場合は監督権が重複するため国土交通大臣の監督とされるものだと考えます。

都道府県が監督する場合を知事許可、国土交通大臣が監督する場合を大臣許可と呼びます。

この区分によって監督者、許可に関する申請先が変わってきます。

大臣許可知事許可
2以上の都道府県の区域に営業所を設けて営業しようとする事業主が取得必要な許可1の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業所を営業しようとする事業主が取得必要な許可

またここでもあいまいなワードの「営業所」です。

「営業所」とは一体何なのか、建設業許可申請の手引きではこのように書いています。

ここでいう営業所とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所を指します。単なる事務所連絡所、工事現場の工事事務所、作業所、資材置場等は、ここでいう営業所には該当しません。(『建設業許可申請の手引き 京都府』2020, p.1)

まず「本店又は支店」と「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」に分けて考えてみます。

「本店又は支店」

ではまずは「本店又は支店」についてみていきましょう。

この文言で読解するなら「本店又は支店」においては「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」でなくてもいいことになります。

それならば「本店又は支店」とは何なのか?ただ事業者がこの事務所は本店、この事務所は支店と任意に名付ければ営業所になるのか?

そうではありません。(建設業法では事業主が任意に決定したものが法律に適用されることはほぼありません。ex 社長、部長などの役職名)

ここでいう「本店又は支店」は譲司請負契約を締結する事務所でない場合、他の営業所に対し請負契約に関与するものである場合には、営業所に該当することになります。

「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」

それでは「常時請負契約を締結する事務所」とは何なのかみていきます。

ここでいう「契約を締結」とは単にサインして判を押すだけの事務所という訳ありません。

契約の作成段階又は企画段階からの行為のことも含んできます。

請負契約の見積もり、入札、協議の契約締結等請負契約の締結にかかる実体的な行為を行う事務所をいい、契約書の名義人が当該事務所を代表するものであるか否かを問わないこととされています。

ここでの「営業所」という概念は建設法のコンプライアンスにとても重要です。

ぜひ、理解していて抱けると嬉しいです。

また、営業所であるかどうか迷われる場合は、土木事務所等々に相談されいいと思います。

では次の区分に参ります。

請負代金、下請代金による金銭的区分

ここでも建設業許可を許可を難しくします。

建設業を営む者は次のうちのどれか一つ以上の区分に属します。

  • 建設業許可を取得していない事業者(無許可業者)
  • 一般建設業許可を取得している事業者
  • 特定建設業を取得している事業者

では以下3つの区分を各々解説したいと思います。

建設業を取得していない事業者(無許可業者)

建設業を持っていない事業者(無許可事業者)といえば非合法の悪徳業者のイメージを思い浮かべますが建設業の許可に関して言えば無許可でも合法であり得ます。

ただし、無許可の場合では請負代金の額に制限がかかってきます。

その請負代金を超えられるか超えられないかが無許可事業者と一般建設業許可取得した事業者との境界となることになります。

次の表が許可を受けなくてものできる工事(軽微な建設業工事)です。

「軽微な建設業工事」という言葉はたびたびでてきますので頭の片隅にでも置いといてください。

建築一式工事で下記のいずれかに該当するもの建築一式工事以外の建設工事
・一件の請負代金が1.500万円未満の工事
・請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延面積が150㎡未満の工事(主要部分が木造で、延面積の1/2以上の居住の用に供するもの)
・工事の1件の請負代金が、500万円に満たない工事

※1 請負代金は消費税を含んだ額で判断します。

※2 同一の工事の契約を複数に分ける場合は、すべての契約の請負代金の合計額で判断します。ただ    し、正当な理由に基づいて契約を分割した場合を除きます。

※3 注文者が材料を提供する場合は、その価格および運送賃を契約の請負代金に加えて判断します。

一般建設業許可を取得している者

一般建設業においては無許可業者に比べて請負代金の制限が解除されます。

つまり請負代金(元請負でも下請負でも)の制限は無制限になります。

つまりは無許可の業者の裏返しということになります。

ただし、今度は上位の許可の特定建設業許可の制限がかかってくることになります。

特定建設業許可を取得している者

請負代金が無制限なのにまで制限があるのかと思われるかもしれませんが、ここが少しややこしいところです。

発注者から直接請け負った(元請とした請け負った)建設工事で、当該建設工事の一部または全部にかかる下請代金の額(下請契約が複数の場合は、下請代金の総額)が、建築一式工事の場合は6.000万円以上、それ以外の建設工事の場合は、4.000万円以上となる下請け契約を締結する者です。   (『建設業許可申請の手引き 京都府』2020, p.2)

一般建設業許可は発注者(注文者や元請負人等)を守るための許可でしたが、特定建設業許可の規定は下請負人を守る許可とされています。

またこの文章を読解していきたいと思います。

まず、この規定は下請業者と契約する場合に必要な許可です。つまり、下請業者を使わず自前だけ工事を完成させる事業主は特定許可は不必要となります。

また「発注者から直接請け負った(元請として請け負った)」とあるのは一次下請負人、二次下請負人がさらに下請負人を使く時には適用されないということです。

「(下請契約が複数の場合は、下請代金の総額)」に関する注意点は直接、建設工事に関する下請契約であって間接的な契約はは含まないということです。たとえば、測量御者、資材業者、警備業者、運搬業者は間接的な契約とされ下請代金には含まれません。  

「※また、元請負人が提供する材料等の価格は含まない。」とされていますが、つまり元請負人が材料等用意すればたとえその材料で下請負人が仕事を完成させても材料の価格は下請負契約に含まないということです。(上記の表の※にあるように特定建設業許可とは反対に一般建設業では請負代金は注文者が材料を提供してもその価格は含まれることになります。)

下請代金には消費税は含みません。(これも一般建設業許可は消費税を含むのに対して反対に特定建設業許可では含みません。

つまり特定建設業許可とはリーダー的資質の判断をするためのものだと考えています。

まとめ

以上のように建設業の許可は複雑かつあいまいです。

しかも、建設業許可は年に一回の決算変更届、5年に一回の更新申請、また営業所の変更や名称変更、技術者の変更に伴う変更申請など許可の管理し、継続していくのは大変なものです。

かといって先述したように罰則があるためないがしろには決してできません。

迷ったときは適当に判断せず土木事務所(電話で相談できます。)や専門家に相談してください。