この要件は近年プラスされた要件です。
以前は社会保険の加入は建設業許可の取得要件には入っていませんでした。
以前はそういったこともあり、建設業界はブラックなイメージが高まっていました。
しかし近年、人手不足問題がクローズアップされ建設業界でも若年者の獲得の意識が高まり又働き方改革などによりすこしづつ建設業界に新しい風が吹き始めています。
その一環として許可要件に社会保険の加入義務を課したとされています。
また社会保険は他の法律によって加入義務があり、加入義務を果たしている企業と加入義務はたしていない企業とで比べて競争原理上でも適法な方が不利になりフェアにするための一環でもあります。
では、社会保険について解説していきます。
社会保険とは…
まず社会保険とはどういったものなのか解説していきます。
社会保険とは民間の保険とは対になるような言葉です。
つまり社会保険とはなどの公の団体が保険者となり運営されます。
そして社会保険という種類名です。では具体的な社会保険とはどんなものか見てみます。
の5つになります。
広義の社会保険 | 狭義の社会保険 | 健康保険 |
厚生年金保険 | ||
労働保険 | 雇用保険 | |
労災保険 |
※これにあと介護保険がある。
平たく説明しますと
健康保険…労働時間以外の医療費の保険給付(労働時間中は労災保険による)
厚生年金保険…老齢厚生年金、障害厚生年金及び障害手当金、遺族厚生年金の保険給付
雇用保険…主に失業時に収入がなくなった場合の保険給付
労災保険…労働時間内の傷害などの保険給付
となります。
建設業種において強制適用事業所(つまり保険加入は法的な義務)となるのは次の通りです。(ここでは許可要件ではない労災保険は割愛します。)
健康保険 | 個人事業主 | 常時5人以上従業員を使用する事業所 |
法人 | 常時従業員を使用する | |
厚生年金保険 | 個人事業主 | 常時5人以上従業員を使用する事業所 |
法人 | 常時従業員を使用する | |
雇用保険 | 個人事業主 | 一人でも雇用している事業 |
法人 |
※「常時5人以上」とは一の事業において雇用する労働者の数が年間を通じて5人以上であることをいう。
建設業による社会保険
ここでは建設業の場合の社会保険とはどんなものか見ていきます。
国土交通省から建設業者へ向けて保険加入へのわかりやすい表があったので参照します。
所属する事業所 | 就労形態 | 労働保険 | 社会保険 | |||
事業者の形態 | 常用労働者の数 | 雇用保険 | 医療保険(いずれか加入) | 年金保険 | ||
法人 | Ⅰ人~ | 常用労働者 | 雇用保険 |
・協会けんぽ ・健康保険組合 ・適用除外承認を受けた国民健康保険組合(建設国保等)※1 |
厚生年金 | |
ー | 役員等 | ー |
・協会けんぽ ・健康保険組合 ・適用除外承認を受けた国民健康保険組合(建設国保等)※1 |
厚生年金 | ||
個人 | 5人~ | 常用労働者 | 雇用保険 |
・協会けんぽ ・健康保険組合 ・適用除外承認を受けた国民健康保険組合(建設国保等)※1 |
厚生年金 | |
1人~4人 | 常用労働者 | 雇用保険 |
・国民健康保険 ・国民健康保険組合(建設国保等) |
国民年金 | ||
ー | 事業主、一人親方 | ー |
・国民健康保険 ・国民健康保険組合(建設国保等) |
国民年金 |
※1 年金事務所健康保険適用除外承認を受けることにより、国民健康保険組合に加入する。
この表で分かりにくいところを説明します。
まず一つ目、役員、事業主、一人親方、において雇用保険が常にないというところです。
雇用保険は労働者のための保険であって使用者は入れません。
そして二つ目は「適用除外承認を受けた国民健康保険組合(建設国保等)」とはいったいどういう意味なのかです。
これは個人において建設国保(個人加入)に加入していた者が、個人事業主から法人になった場合や常時労働者の数が5名以上になり健康保険等の加入義務が出てきた際でも組合に対し適用除外新承認申請を経れば建設国保のままでも合法とみなすということです。
まとめ
というわけで建設業における社会保険を見ていきました。
すべての業者がすべての社会保険に加入する必要はなく、業者の形態(法人や個人)又は規模(ここでは労働者の数)などによって加入を必要とする保険は変わってくるということです。