4.許可の要件(専任技術者)

許可の要件

前回の記事で経営業務管理責任者というものを見てきました。

その時は建設業の「経営」に関して経験に積んでいるか人がいるかという事柄を見てきました。

今度は建設業における「技術的」な資格を持っているか又は経験を積んでいる人がいるかという要件に焦点を当ててみていきます。

・営業所ごとに専任の技術者を配置すること

手引きには専任技術者の要件をこのように書いています。

この要件も複雑です。できるだけわかりやすく説明していこうと思います。

「営業所ごと専任」とは

建設業許可申請の手引き 京都府 p.11

「営業所の専任の技術者」とは、その営業所に常勤して、もっぱらその業務に従事する者をいいます。事業体(法人または個人事業主)と継続的な雇用関係にあり、休日その他勤務を要しない日を除き、通常の勤務時間中はその営業所に勤務できる者でなければありません。

経営業務管理責任者とは似てはいます。

しかし、一つ違うところがあります。

それは経営業務管理者に比べてそれは勤務をする場所、営業所まで限定されているところです。

経営業務管理者はどの営業所に対して勤務してもいいのに対して専任技術者は営業所は限定されています。

これは経営業務管理者と違い、専任技術者は注文者に面前にて説明等が必要なためだと思われます。

そしてもう一つ重要なことが手引きには書かれています。

建設業許可申請の手引き 京都府 p.11

複数の業種の許可を申請する場合において、それぞれの業種について基準を満たしている者は、同一営業所内において、複数の業種の専任技術者を兼ねることができます。また、6.(1)の「適正な経営体制(常勤役員等又は当該常勤役員等を直接に補佐する者)」と専任技術者との双方の基準を満たしている者は、同一営業所内において、その双方を兼ねることができます。

ここでは複数の業種の専任技術者になれること、経営業務管理者との兼務も可能なことが書かれています。

ただし、ポイントは「同一営業所内」というところです。

やはり専任技術者は営業所に縛られるということです。

建設業許可申請の手引き 京都府 p.11

※1 「営業所の専任技術者」は通常勤務時間中はその営業所に勤務地できる者であるため、住所が勤務を要する営業所の所在地から著しく遠い距離にあり、常識上通勤不可能な者は認めれません。また同様に、他の建設業者の営業所・自社の他の営業所の専任技術者となっている者(専任を要する営業体及び場所が同一である場合を除く)も専任であると認められません。

また注意点として専任技術者と工事現場の主任技術者(又は監理技術者)(現場のリーダー的な存在)とは兼務することができません。

この文章からわかるようにやはり専任技術者は営業所にて形式的な存在だけでなく実態的に注文者に技術的なアドバイスや対応を求められています。

ただし専任技術者と主任技術者(又は監理技術者)の兼務には例外的に認められている場合もあります。

  • 専任技術者が置かれている営業所で契約締結した建設工事であること
  • それぞれの職務を適正に遂行できる程度に近接した工事現場であること
  • 営業所と工事現場が常時連絡を取りうる体制にあること
  • 建設工事が、主任技術者の専任配置を必要とする工事でないこと

が要件となります。

「技術者」とは

技術者となるには2つのパターンがあります。

  • 一定年数の実務経験を積むこと
  • 国家資格を取ること

となります。

表に示すとこんな感じです。

許可を受けようとしている業種に関して国家資格を有すること
実務経験を積むこと 業種に関連する学科を卒業している 5年または3年の実務経験
業種に関連する学歴のない 10年以上の実務経験

許可を受けようとする建設業とその関連される学科

実務経験を積むこと

まずは実務経験から説明していきます。

実務から技術を学んでいくという方法です。

一般建設業許可と特定建設業許可に分けて考えていきます。

一般建設業における専任技術者のすべき経験

実務経験の次の表のとおりです。

業種に関連する学科を卒業している 専修学校(専門学校)を「専門士」「高度専門士」として卒業 3年以上
専修学校(専門学校)を「専門士」「高度専門士」以外として卒業 5年以上
業種に関連する学歴がない 10年以上

つまり、在学中も経験期間と考えているのでしょう。

しかし、在学期間が経験期間と必ずしも一致するわけではないので気を付けましょう。

また特殊な例では海外での工事実務経験を有するもので、当経験の内容につき国土交通大臣の個別の審査を受け認定された場合があります。

特定建設業許可における専任技術者のすべき経験

上記の一般建設業許可は「経験期間」が主に問われましたが、特定建設業許可の場合は「経験の質」も問われることになります。

一般建設業の営業所専任技術者となり得る資格要件を有し、かつ、許可を受けようとする建設業にかかる建設工事に関して、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4.500万円以上である者について2年以上、建設工事の設計、施工の全般にわたって工事現場主任や現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した実務経験を有するもの(指定建設業を除く)

「経験の質」というのは指導監督した実務経験になります。

では具体的に指導監督した実務経験とはどのようなものか解説していきます。

指導監督した実務経験とは主任技術者又は監理技術者として、工事の技術上の管理を総合的に指導監督した実務経験をいいます。

主任技術者とは、一般建設業における専任技術者の要件を満たしており、建設業者と直接的な雇用関係にある人をいいます。主任技術者の業務内容は、主に次のとおりである。(建26条の4第1項)

  • 施工計画の作成
  • 工程管理
  • 品質管理
  • その他技術上の管理
  • 当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督

となります。

つまり、リーダーとしてまた全体を俯瞰して業務を行った経験ということです。

ただし、指定建設業7業種に関して「経験期間」(国家資格ではなく)で特定建設業の専任技術者なろうとする場合、過去に特別認定講習を受け、当該講習の効果評定に合格した者もしくは国土交通大臣が定める考査に合格して者とされています。

指定建設業…施工技術の総合性、施工技術の普及状況、その他事情等を勘案して定められた業種

  • 土木工事業
  • 建築工事業
  • 電気工事業
  • 管工事業
  • 鋼構造物工事業
  • 舗装工事業
  • 造園工事業

国家資格を有すること

上記は「建設業許可申請の手引き 京都府 p.110~p.115」から引用させてもらいました。

クリックによってPDFが見られますのでぜひご覧ください。

自分がに何の資格を取ることによってどの業種の許可を得られるのか、又は逆に自分の持つ資格はどの業種の許可を得らるのか又はその業種とは「特定」なのか「一般」なのかこの表で確認できると思います。

筆記や実技の試験による合否判定を受ける、いわゆる国家試験です。

専任技術者としての証明も経験期間による証明よりも簡単です。

まとめ

この専任技術者の要件は建設業には欠かせない現場の力を見るためのものなのです。

単なる個人の技術力だけでなく、現場のまとめ役としての力も必要です。

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