6.許可の要件(金銭的な信用)

許可の要件

ここではタイトルのように金銭的な信用についての要件です。資材の購入や下請け業者の支払い又は工事の瑕疵担保などある程度、資金のストック(返済不要のもの)がなければ注文者や下請業者また資材業者に信用を担保できません。

そこで建設業許可の要件で審査することにより第三者も安心して取引できます。

既存企業においては新世辞直前の決算期における財務諸表、新規企業(決算期を迎えていない)においては創業時の財務諸表により確認します。

要件は次の通りです。

「金銭的な信用」の要件

一般建設業 次のいずれか一つに該当すればいい
  • 自己資本の額が500万円以上であること。※1
  • 500万円以上の資金を調達する能力を有すること。※2
  • 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること。※3
特定建設業 次の全てに該当する必要あり
  • 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと。※4
  • 流動比率が75%以上であること。※5
  • 資本金の額が2.000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4.000万円以上であること。※6

ではひとつずつ用語解説していきます。

※1…「自己資本」とは貸借対照表の右下の部分になります。総資本と呼ばれることもあります。負債(他人資本)に対する概念で簡単に言うと総資産のうち自分のものとしての割合くらいの意味合いです。

ここまでは詳しく知る必要はありませんが、とりあえず説明しておくと法人にあっては貸借対照表における純資産合計額を、個人にあっては期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額をいいます。

ぜひ、税務申告時の控えの貸借対照表で確認できます。

※2…「500万円以上の資金を調達する能力を有すること」とありますがとても抽象的です。具体的には担保すべき資産がある等で500万円以上の資金について取引金融機関の預金残高証明書又は融資証明書等を得られることをいいます。

※3…この要件は許可更新の際に必要な要件です。新規での取得の際には実績がないためです。

※4…まずは「欠損の額」とは、法人の場合は、貸借対照表の繰越利益剰余金が負である場合に、その額が資本剰余金、利益準備金及びその他の任意積立金の合計額を上回る額をいいます。個人の場合は、事業主損失が事業主借勘定の額から事業主貸勘定の額を控除した額に、負債の部に計上されている利益保留性の引当金及び準備金を加えた額を上回る額をいいます。

※5…「流動比率」とは流動資産流動負債で割ったものです。流動資産とは資産の部の最初の方のあるもの現金預金、受取手形、売掛金、棚卸資産で1年以内に現金化される資産です。流動負債とは買掛金、未払金、借入期間が1年以内の短期借入金です。つまり何を確認するための比率かといえば返済が早期に迫った負債を、現金に近い資産で返済準備ができているかという安全性を確認するための比率です。

※6…「資本金」とは自己資本(総資本)の一つの勘定科目であり、総資本の部の代表的な存在であります。

この要件はすべて財務諸表(決算書)の貸借対照表に記載されているものです。

単語と数字を合わせるだけでも要件が確認できると思います。

まとめ

この要件は少し難しです。

しかし、決算変更届や許可の更新など財務諸表(決算者)を扱う機会が増えてくると思います。

ぜひ、理解しておくことは得策かもしれません。

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