教育扶助とは
教育扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、次に掲げる事項の範囲内において行われます(生活保護法第13条)。
①義務教育に伴って必要な教科書その他の学用品
②義務教育に伴って必要な通学用品
③学校給食その他義務教育に伴って必要なもの
憲法26条2項は、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする」と規定していますが、生活保護法もこの趣旨に従って義務教育の修学に必要な費用を対象としています。義務教育とは、学校教育法16条に規定する9年(小学校6年と中学校3年)の普通教育をいいます。高等学校への修学は義務教育には含まれませんから教育扶助の対象とはなりませんが、生業扶助の技能習得費の中で高等学校修学費用が支給されます。
教育扶助の内容
「義務教育に伴って必要な教科書その他の学用品」として、例えば、正規の教材、ノート、鉛筆、画用紙、絵の具、習字用紙、筆、消しゴムがあります。教科書は、「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」により無償とされますから、これら該当する教科書は教育扶助の対象となりません。
「義務教育に伴って必要な通学用品」として、例えば、かばん、雨傘、学生服、学帽、通学用自転車、ヘルメットがあります。
「学校給食その他義務教育に伴って必要なもの」として、例えば、給食費用、通学のための交通費、学級費、郊外活動参加費、学習支援費があります。
教育扶助には級地制は採用されておらず、全国一律の基準となっています。教育扶助は次の一般基準により金銭給付を原則としています。
①基準額の月額は、小学校2,210円、中学校4,290円
②正規の教材として学校長や教育委員会の指定する者の購入費用
③学校給食費として、保護者の負担すべき給食費の額
④通学のための交通費として、通学に必要な最小限度の額
⑤学習支援費として、月額で小学校2,630円、中学校4,450円
以上の一般基準のほかに次の特別基準により加算されます。
①学級費として月額で小学校670円以内、中学校750円以内
②災害時等の学用品費の再給付として小学校11,400円、中学校22,300円
③郊外活動参加費として必要な最小限度の額
教育扶助は、金銭給付によって行うことを原則としています。ただし、例外として、①これによることができない場合、②これによることが適当でない場合、③その他保護の目的を達するために必要がある場合は、現物給付によって行うことができます。(生活保護法32条1項)
教育扶助のための保護金品は、被保護者、その親権者若しくは未成年後見人又は被保護者の通学する学校の長に対して交付するものとされています(生活保護法32条2項)。