医療扶助とは
医療扶助は、困窮のために最低限度の生活を維持することのできないものに対して、
次に掲げる事項の範囲内において行われます(生活保護法第15条)
①診察
②薬剤又は治療材料
③医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術
④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の環濠
⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
⑥移送(入院・転院等の交通費その他の輸送費)
医療扶助では、病気やけがで入院や通院によって治療を必要とする場合には、自治体の長その他の者の指定した「指定医療機関」に委託して医療の現物給付(診察や治療)によって行われます。指定医療機関の診療方針や診療報酬は、国民建国保険の診療方針や診療報酬の例によることとされています(生活保護法第52条1項)。
医療扶助の内容
医療扶助の対象は、診察、検査、注射、投薬、手術、輸血、入院その他の国民健康保険適用対象となる医療が現物給付されます。そのほかにも、入院・通院・転院・の場合の交通費その他の移送費(輸送費)、義足・松葉杖・眼鏡のような治療材料、あん摩・マッサージ・指圧・はり・灸・柔道整復のような施術も給付の対象となります。
医療扶助の方法は次の通りとなります(生活保護法第34条)。
①医療扶助は、
「現物給付」
によって行います。
ただし、例外として、
(a)これによることができない場合
(b)これによることが適当でない場合
(c)その他保護の目的を達するために必要がある場合
は、「金銭給付」によって行うことができます。
②医療の現物給付は、医療保護施設を利用させ、又は医療保護施設若しくはして医療機関にこれを委託して行うものとしています。
③医療の現物給付のうち医療を担当する医師または歯科医師が医学的知見に基づき後発医薬品(物資特許の切れた安価な医薬品)を使用することができると認めたものについては、被保護者に対し、可能な限り後発医薬品の使用を促すよう努めるものとしています。使用を強制することはできません。
④あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師のような施術者の行うことのできる範囲の施術については、都道府県知事の指定を受けた施術者に委託して給付を行うことができます。
⑤急迫した事情その他やむを得ない事情がある場合には、被保護者は、指定を受けない医療機関で医療の給付を受け、又は指定を受けない施術者に施術の給付を受けることができます。
⑥医療扶助のための保護金銭は、被保護者に対して交付されます。
医療扶助基準は次の通りとされています。
①指定利用機関等において診療を受ける場合の費用は、国民健康保険の診療方針や診療報酬に基きその者の診療に必要な最小限度の額
②薬剤又は治療材料にかかる費用は、25,000円以内の額
③施術のための費用は、都道府県知事又は指定都市・中核市の長が施術者の組合と協定して定めた額以内の額
④移送費は、移送に必要な最小限度の額