介護扶助とは
介護扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない「要介護者」に対して、次の①から④まで及び⑧に掲げる事項の範囲内において行われ、困窮のため最低限度の生活を維持することができない「要支援者」に対して、次の⑤から⑧までに掲げる事項の範囲内において行われます(生活保護法第15条の2)。
①居宅介護(居宅介護支援計画に基づき行うものに限ります)
②福祉用具
③住宅改修
④施設介護(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)
⑤介護予防(介護予防支援計画に基づき行うものに限ります)
⑥介護予防福祉用具
⑦介護予防住宅改修 ⑧移送(例えば、介護保険施設への輸送費)
介護扶助の対象者は、介護保険法に規定する①要介護者と②要支援者の状態にある者に限られます。①要介護者とは、介護保険法により住所地の自治体の長から要介護1~要介護5のいずれかの認定を受けた者をいいます。②要支援者とは、介護保険法により住所地の自治体の長から要支援1又は要支援2のいずれかの認定を受けた者いいます。これらの7区分の状態は、要支援1が最も軽く、要介護5が最も重くなっています。要介護者には介護給付が行われ、要支援者には予防給付が行われます。介護保険の自己負担額は所得額により1割、2割又は3割とされています。
介護保険の被保険者は、①65歳以上の第1号被保険者と②40歳以上65歳未満の医療保険に加入している第2号被保険者とに区別されています。第2号被保険者は、関節リウマチ、脳血管疾患(脳出血や脳梗塞)、脊椎間狭窄症その他の特定の16種類の病気(特定疾病)によって要介護又は要支援の状態と認定された場合にだけ介護保険の給付を受けることができます。生活保護法の介護扶助の対象者には、被保険者ではない者、要介護又は要支援の認定を受けていないものでも、要介護又は要支援の状態ある者は含まれます。
介護扶助の内容
介護給付の内容は、居宅介護、福祉用具、住宅改修、施設介護、介護予防その他の生活保護法第15条の2第1項に規定する給付とされていますが、給付の内容は、介護保険法に規定する給付の内容と同一の内容とされています。
介護扶助の方法は次の通りとなります(生活保護法第34条の2)。
①介護扶助は、
「現物給付」
によって行います。
ただし、例外として
(a)これによることができない場合
(b)これによることが適当でない場合
(c)その他保護の目的を達するために必要がある場合
は、「金銭給付」によって行うことができます。
②介護扶助の現物給付は、原則として指定された介護機関に委託して事情がある場合には、被保護者は、指定を受けない介護機関の給付を受けっることができます。
③介護扶助のための保護金品は、被保護者に対して交付されます。
介護保険と生活保護との関係は、①65歳以上の第1号被保険者の場合は介護保険の給付が生活保護の給付に優先するので、介護保険の自己負担額相当額は生活保護の介護扶助となります。②40歳以上65歳未満の医療保険の未加入者は介護保険の被保険者とはならないので、介護保険の給付はなく生活保護の介護扶助となります。
介護保険の被保険者でない要保護者は、介護保険制度の適用は受けませんから、要介護認定は生活保護制度で行う必要がありますが被保険者との均衡を図るために自治体の介護認定審査会に委託して行うこととしています。しかし、やむを得ない理由がある場合は、介護認定審査会の結果を待たずに介護扶助の行われる場合もあります。
介護扶助基準は次の通りとされています。
①居宅介護、福祉用具、住宅改修又は施設介護にかかる費用は、その者の介護サービスに必要な最小限度の額
②移送費は、移送(輸送)に必要な最小限度の額