20.祭祀扶助の内容

葬祭扶助とは

 葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、次に掲げる事項の範囲内において行われます。(生活保護法第18条1項)

①検案

②死体の運搬

③火災又は埋葬

④納骨その他葬祭のために必要なもの

①の「検案」とは、医師の診療中の患者でないものが死亡した場合などに、その死体について死因その他の医学的検査をすることをいいます。この場合は「死体検案書」が作成されます。

③の「火葬」とは、遺体を葬るために火葬場で焼くことをいいます。「埋葬」とは、遺体を葬ることを(土葬)をいいます。

④の「納骨」とは、焼骨を収蔵することをいいます。「その他埋葬のために必要なもの」には、例えば、棺、骨壺、位牌、祭壇、読経、死亡診断書があります。

 葬祭扶助は、次に掲げる場合において、その葬祭を行うものがある場合は、その者に対して葬祭扶助を行うことができます(生活保護法第18条2項)。

①被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がない場合

②死者に対しその葬祭を行う扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬祭を行うに必要な費用を満たすことのできない場合

葬祭扶助の内容

 葬祭扶助の方法は次の通りとされています(生活保護法第37条)。

①葬祭扶助は、
「金銭給付」
によって行います。
ただし、例外として、
(a)これによることができない場合
(b)これによることが適当でない場合
(c)その他保護の目的を達するために必要がある場合
は、「現物給付」によって行うことができます。

②葬祭扶助のための保護金品は、葬祭を行うものに対して交付します。

 葬祭扶助の一般基準の基準額は、次の通りとなっています。

1級地と2級地は、大人206,000円以内、小人164,800円以内

3級地は、大人180,300円以内、小人144,200円以内

 この場合の大人と小人の区別は火葬等に関する自治体の条例によりますが、条例のない場合はその地域の慣行によります。

 葬祭費が基準額を超え、火葬料が
1級地・2級地で大人600円・小人500円
3級地で大人480円・小人400円
を超える場合は、超える額を基準額に加算します。自動車料金その他の死体の運搬料が
1級地・2級地で15,290円
3級地で13,380円
を超える場合は、 22,630円からこの額を控除した額の範囲内の額を基準額に加算します。

 葬祭扶助の特別基準は、次の通りとなっています。

①証人について一般基準額を超える場合は大人の基準額を適用します。

②扶養義務者のない場合に葬祭を行うものには1,000円を加算します。

③死亡診断又は死体検案の費用が5,250円を超える場合は、超える額を加算します。 ④火葬又は埋葬を行うまでの間、死体を保守するための特別な費用は実費に加算されます。

保護施設の義務

 保護施設の義務として次の義務があります(生活保護法第47条)。

①保護施設は、保護の実施機関から保護のための委託を受けた場合は、正当な理由なくして、これを拒否してはなりません。

②保護施設は、要保護者の入所又は処遇に当たり、人種、信条、社会的身分又は門地により差別的又は優先的な取り扱いをしてはなりません。

③保護施設は、これを理由する者に対して、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することとを強制してはなりません。

④保護施設は、都道府県職員による立ち入り検査を拒んではなりません。

 保護施設の長は、常に、その施設を利用する者の生活の向上及び構成を図ることをに努める必要があります。保護施設の長は、その施設を利用するものに対して、管理規程に従って必要な指導をすることができますが、都道府県知事は、必要と認めるは、その指導を制限し又は禁止することができます。保護施設の長は、その施設を利用する被保護者について、保護の変更、停止又は廃止を必要とする事由が生じたと認める場合は、速やかに保護の実施機関に届け出る必要があります(生活保護法第48条)。