医療扶助の申請
現に生活保護法による保護を受けていない者が、医療扶助のみ又は医療扶助と同時に他の扶助の開始を申請する場合には、保護申請書の一般的な記載事項のほか、申請の自由欄磯の傷病の部位、発病時期、病状、社会保険の被保険者又は被扶養者の資格の有無、後期高齢者医療制度の被保険者資格の有無その他の参考事項を記載して福祉事務所長あてに提出します。医師の診断書の添付は必要ありませんが、福祉事務所長の指定する医療機関で検診を受ける必要があります。
医療扶助以外の扶助を受けている者が、医療扶助を申請する場合には、「保護変更申請書(傷病届)」に必要事項を記入して福祉事務所長あてに提出します。被保護者である患者が急迫した状況にあるため医療券の発行をする余裕がない場合は、福祉事務所長は、指定医療機関に状況を説明して医療券を発行しないで医療給付を行うことができます。
医療扶助の開始の申請があった場合は、申請者の実情に応じて医療要否意見書、精神疾病入院要否意見書その他の意見書に福祉事務所又は町村の担当員が必要事項を記載のうえ申請者に対してこれらの取り扱いについて説明し、速やかに指定医療機関で必要事項の記入を受け福祉事務所長又は町村長に提出することとしています。ただし、自励のような場合は各要否意見書の提出を求める必要はないとしています。
①収入、資産等の状況により被保護者とならないことがほぼ明らかな場合
②必要な給付がすべて他方の施策による行われることが明らかな場合
③被保護者が医療扶助の併給開始又は変更申請を行った場合で、病状の悪化等により明らかに入院医療の必要が認められ、かつ、活用すべき他方の施策がないと判断される場合
医療扶助の決定
福祉事務所長は、医療扶助に関する決定をしようとする場合には次の事項に留意するいこととしています。
①医療扶助の開始時期は、原則として保護申請書又は保護変更申請書(傷病届)の提出のあったに以降において医療扶助を適用する必要があると認められた日とすること
②要保護者の医療につき医療扶助に優先して活用されるべき他方の施策による給付の有無を調査確認し、これがあると判断される場合は、要保護者に対してこれを活用すべきことを指導するとともに他方の施策の運営実施を管理する機関に連絡して要保護者に対する援助が適正円滑に行われるよう配意すること
③一般入院要否判定基準として、入院医療は、居宅では医療の目的を達しがたいと認められる場合に限り認められることとしています。入院医療が認められる場合に限り認められることとしています。入院医療が認められる場合の例としては次の場合があります。
ア 手術後、身体の動揺を避けなければならない必要がある場合
イ 朝夕数回にわたる専門技術処置又は手術を必要とする場合
ウ 層状が相当重く、しばしば病状を診察して経過を観察する必要がある場合
エ 特に厳密な食餌療法その他病院固定の設備をしばしば利用する特殊な療法を施す場合
オ 病状により特に居宅療法ではその効果をもたらすことが困難な場合
④訪問看護要否判定基準として、訪問看護は、疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者居宅において看護師等が行う療養上の世話又は診療の補助を必要とする場合に限り認められることとしています。介護保険での要介護者又は要支援者に対する訪問看護は介護保険の給付が優先されるので、医療扶助は急性憎悪時の訪問看護、末期がん等に対する訪問看護に限られます。
⑤救護施設、更生施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、介護老人福祉施設の入所者の医療については原則としては医療扶助は運用されませんが、当該施設において措置できない場合には医療扶助が適用されます。
医療扶助による診察、薬剤(調剤を除く)、医学的処置、手術等の診療の給付は、次の通り福祉事務所長が「医療券」を発効して行うこととしています。
①医療券の発行の単位は、歴月を単位として発行するものとし、診療の給付が月の中途を始期又は終期する場合は、それに折り有効期間を記載した医療券を発行するものとします。
②医療券は、福祉事務所において所要事項を記載し福祉事務所長印を押印したものをもって有効とするものとしています。
③医療券の交付に当たっては、次の点に留意させることとしています。
ア 医療券を所定の医療機関に提出して医療を受けること
イ 医療券の有効期間内に医療を受けること
ウ 治療が終わった場合又は診療を中止した場合は、速やかにその旨を福祉事務所に届け出ること
福祉事務所長は、医療扶助の開始、変更、停止、(一時止めること)、廃止(打ち切り)を決定した場合は、それらの決定の通知書を被保護者に送付します。申請を却下した場合は、申請者に却下の決定の通知書を送付します。