介護扶助の基本的考え方
介護扶助は、困窮のため最低生活を維持することができない介護保険制度の要介護者と要介護者と要支援者に対して介護保険制度の給付と同等の給付を現物給付することにより扶助する者です。介護保険制度のサービスを利用した場合は一定の自己負担がありますが介護扶助の対象として無料となり、介護保険料相当額は生活扶助に加算されます。
介護保険制度の被保険者(加入者)は、
①65歳以上の第1号被保険者
②40歳以上65歳未満の医療保険制度に加入している第2号被保険者
と分かれています。
第1号被保険者では介護や支援が必要となった原因は問いませんが、第2号被保険者では特定疾病(例えば、関節リウマチ、の血管疾患その他の特定の16種類の疾病)により介護や支援が必要になった場合にのみ介護保険のサービスが受けられるとしています。介護保険制度では、最も介護の必要な程度を要介護5として要介護1までの5段階と、要支援2・要支援1の全部で7段階に区分した自治体の介護認定審査会で認定することとしています。
介護保険の被保険者資格のない者(介護保険に加入していない者)については、要介護認定や要支援認定は介護扶助の一環として生活保護制度で独自に行います。ただ、この場合の認定の実務は、各自治体に設置されている介護認定審査会に委託して行うこととしています。
介護扶助の申請
介護扶助の開始を申請する場合には、保護申請書の一般的な記載事項のほか、介護保険の被保険者の資格の有無、その他の参考時効を記載したうえ、居宅介護支援計画等の写し(被保険者が居宅介護等を申請する場合)を添付して福祉事務所長に提出します。介護保険の場合は、居宅介護サービス計画費又は介護予防サービス計画費が保険者から給付されるからです。
介護保険の被保険者資格のない者が介護扶助の開始を申請する場合には、居宅介護支援計画等の添付は必要としません。
介護扶助の決定
介護扶助の決定は、次の事項に留意して行われます。
①介護扶助を適用すべき期日は、原則として保護申請書又は保護変更申請書の提出のあった日において介護扶助を適用する必要があると認められた日とします。
②居宅介護等尾の介護扶助の程度は、介護保険法に定める居宅介護サービス人運基準の範囲内であるので、これらの基準を超える介護サービスについては、全額自己負担となることから利用を止めるよう指導することとしています。
③特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、介護予防特定施設入居者介護、介護予防認知症対応型共同生活介護については、入居に係る利用料が住宅扶助により入居できる額に限られるものであるので留意することとしています。
④他の市町村の地域密着型サービス等(例えば、夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護)の介護保険被保険者の利用は、その地域密着型サービス等を行う事業者について、その被保護者を被保険者とする市町村の指定を受けている場合に限られます。また、被保険者以外の者についても、被保険者に準じた範囲とされます。
介護扶助は、
①福祉用具等
②住宅改善等
③移送
を除いて、「介護券」を発効して行うこととしています。
福祉事務所は、介護扶助を決定した指定介護機関に対して介護券を送付します。介護券は、歴月を単位として発行するものとし、介護の給付が月の中途を始期又は終期とする場合は、それによる有効期間を記載した介護券を発行します。介護券は、福祉事務所において所要事項を記載し福祉事務所長印を押印したものをもって有効とするものとしています。
福祉事務所長は、介護扶助の開始、変更、停止、廃止を決定した場合は、それらの決定の通知書を被保護者に送付します。申請を却下した場合は、申請書に却下の決定の通知書を送付します。