不服申し立て所(審査請求書)の作成
生活保護申請に関する主な不服申立には、保護の実施機関(福祉事務所長その他)への保護開始申請に対する却下の処分、既に受けている保護の停止(一時的な支給停止)、保護の廃止(打ち切り)のような処分に対する審査請求があります。
審査請求書の書き方は決まっていませんが、記載する必要がある事項は次の通りとされています(行政不服審査法19条2項)
①審査請求人の氏名又は名称及び住所又は居所
②審査請求に係る処分の内容
③審査請求に係る処分があったことを知った年月日
④審査請求の趣旨及び理由
⑤処分庁の教示の有無及びその内容
⑥審査請求の年月日
審査請求書の作成の仕方も決まっていませんが、一般にA4サイズの用紙に横書き・片面印刷にします。手書きの場合は鉛筆書きで清書をした後に、コンビニでコピーするのが無難です。提出方法は郵送でもかまいません。
審査請求書の記載例
審査請求書の書式は決まっていませんが、一般に次の記載例のように作成します。(記載例)
審査請求書
平成〇年〇月〇日
A県知事 殿
審査請求人 〒000-0000 A県○群〇町○○番地
〇〇〇〇 ㊞
行政不服審査法に基き下記の通り審査請求をする。
記
1.審査請求に係る処分
A県〇〇福祉事務所長が行った平成〇年〇月〇日付福祉第〇〇〇号文書による生活保護開始申請に対する却下処分
2.審査請求に係る処分があったことを知った年月日
平成〇年〇月〇日
3.審査請求の趣旨
「上記1記載の処分を取り消す。」との裁決を求める。
4.審査請求の理由
(1)本件処分は憲法25条及び生活保護関係法令に違反した違法な処分であるから、本件処分を取り消す必要がある。
(2)本件処分は、生活保護法に規定する却下の理由には該当しないのに、該当するとした誤った違法な処分である。
(3)本件処分通知書の「却下の理由」には、適法に処分理由が明示されていないので、行政手続法第8条の規定に違反し本件処分は無効である。
(4)(以下に具体的に最低生活もできない理由や却下処分についての不服を箇条書きにします)
5.処分庁の教示の有無及びその内容
「この処分について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3カ月以内に、A県知事に対して審査請求をすることができます。」との教示があった。
以上
上例の審査請求書の作成で注意することは次の通りです。
① 書面の表題は「審査請求書」とします。
② 2行目の審査請求の年月日は書面の作成日又は郵送日を記載します。
③ 3行目の宛先は都道府県知事とし、郵便の場合の封筒の宛先も同様にします。知事の住所は都道府県庁の所在場所とします。知事の氏名の記載は不要です。
④ 4行目の審査請求人は、個人の住所・氏名を記載して押印(認め印)をします。
⑤ 上記1の「審査請求に係る処分」は、却下処分その他の処分を特定できるように処分通知書の日付と文書番号を記載します。
⑥ 上記2の「審査請求に係る処分があったことを知った年月日」は、処分通知書を受け取った年月日を記載します。
⑦ 上記3「審査請求の趣旨」には条例のように「採決を求める」と記載します。
⑧ 上記4の「審査請求の理由」には上例では却下処分を違法とする理由を記載します。行政手続法8条は、行政庁(この場合は福祉事務所長)は、申請より求められた処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならないと規定していますから、福祉事務所長は、却下処分と同時に適法に理由を示す必要があるのです。
⑨ 上記5の「処分庁の教示の有無及びその内容」は、処分通知書に記載されたとおりに記載します。
⑩審査請求人の主張を立証(証明)する証拠書類を提出する必要はありませんが、証拠書類を添付して提出することもできます。その場合には、「6 添付書類」として添付書類の表題を記載し、そのコピーを添付します。