審査請求(不服申立書)の処理の主な流れ
不服申立書(審査請求書)は、行政不服審査法の規定によって処理されますが、平成28年4月に施工された改正後の行政不服審査法の主な変更点は次の通りです。
①旧法の異議申立の制度は廃止され「審査請求」に一元化された。
②旧法の審査請求期間の60日以内が「3カ月以内」に延長された。
③審査請求の審理は行政処分に関係しない職員(審理員)が審査請求人と処分庁の主張を聞いて公正に審理することとした。
④審査長は、行政庁に上級行政庁がある場合は最上級行政庁を審査庁とし、上級行政庁がない場合は処分庁を審査庁とした。
⑤審査庁の裁決について有識者からなる第三者期間が点検をします。
⑥審査請求の権利が拡大され関係書類の閲覧や謄写が可能となった。
⑦審査請求人の高騰による意見陳述で処分庁への質問が可能となった。
審査請求人の処理の主な流れは次の通りとなります。
①審査請求人から審査庁に審査請求書を提出します。
②審査庁は、審査庁の指名した審査員に審査請求書を送付します。
③審査庁が、審査員を指名した場合は、審査請求人と処分庁に通知します。
④審査員は、審査請求の審理を担当としますが、主な業務は次の通りです。
ア 審査請求書の処分庁への送付
イ 弁明書の審査請求人への送付と反論書の提出要求
ウ 証拠書類や証拠物の提出期限の設定
エ 証拠書類や証拠物の提出期限の設定
オ 書類その他の物件の提出要求
カ 参考人への陳述や鑑定の要求
キ 審理関係人への質問
ク 裁決に関する意見書の作成と審査庁への提出
⑤審査庁は第三者機関(行政不服審査会)に諮問をして答申を得ます。
⑥審査庁は第三者機関の答申後、遅滞なく裁決を行います。
生活保護法に規定する審査請求と再審査請求
生活保護法の規定に基づいて保護の実施機関(福祉事務所等その他)の行った保護開始申請の却下処分、保護の停止や廃止の処分については、行政不服審査法18条1項の規定により処分のあったことを知った日の翌日から起算して3カ月以内に上級行政機関の知事に対して審査請求をすることができます。この審査請求に対する裁決は、審査請求から50日以内にする必要があります。(生活保護法第65条1項)。行政不服審査法62条は、処分庁は、不服申立のできる処分をする場合には、処分の相手方に対して次の事項を書面で教示する必要があるとしています。
①その処分について不服申立をすることができる旨
②不服申立をすべき行政庁
③不服申立をすることができる期間
知事への審査請求に対する裁決に不服がある場合の厚生労働大臣への再審査請求は、行政不服審査法62条の規定により審査請求についての裁決があったことを知った日の翌日から起算して1カ月以内にする必要があります。再審査請求に対する裁決は、再審査庁が、再審査請求から70日以内にする必要があります(生活保護法第66条2項)
保護の実施機関は、生活保護法第19条により次の4種類がありますが、①の審査庁は厚生労働大臣で再審査庁はありません。②③④の審査庁は知事で、再審査庁は厚生労働大臣となります。
①都道府県
②市長
③福祉事務所を管理する町村長
④上記の実施機関から委任を受けた福祉事務所長