1.まずは自筆証書遺言を書いてみましょう
人が亡くなると、その人の財産は家族などの相続人に引き継がれます。
そのとき、誰がどの財産を受け取るのかを話し合って決めます。
この話し合いを遺産分割協議といいます。
しかし、すべての家庭でスムーズに話し合いができるとは限りません。
次のような場合は、遺産分割協議が難しくなることがあります。
例えば次のようなケースです。
- 相続人の1人と長い間連絡が取れない
- 相続人どうしの仲が悪く、話し合いにならない
- 相続人の1人が認知症や病気で意思表示ができない
遺産分割協議は、相続人全員の同意が必要です。
つまり、相続人が5人いれば、5人全員の同意が必要になります。
1人でも同意しない人がいると、話し合いは成立しません。
その結果、銀行の預金を引き出すことや、不動産の名義変更ができず、
財産が何年もそのまま放置されてしまうこともあります。
このようなトラブルを防ぐために役立つのが遺言書です。
遺言書があれば、亡くなった人の意思にしたがって
財産の分け方を決めることができます。
そのため、相続人どうしの争いを減らすことにもつながります。
遺言書にはいくつか種類がありますが、
一番手軽に作れるものが自筆証書遺言です。
まずは、難しく考えすぎず、
自分の考えを書いてみることが大切です。
2.自筆証書遺言の基本ルール
自筆証書遺言を書くときは、いくつかのルールがあります。
このルールを守らないと、遺言書が無効になることもあります。
① 自分で手書きする
自筆証書遺言は、基本的に自分で手書きします。
本文、日付、氏名はすべて自分で書きます。
パソコンで作った遺言書は、原則として認められません。
② 押印をする
遺言書には印鑑を押します。
認印でも問題ありませんが、実印を使うとより安心です。
③ 日付を正確に書く
遺言書には必ず日付を書きます。
日付はとても重要なポイントです。
例えば、遺言書が2通見つかった場合、
新しい日付の遺言書が有効になるからです。
そのため、必ず年月日まで書きます。
例
・2024年1月15日
・令和6年5月30日
次のような書き方は無効になることがあります。
- 令和〇年〇月
- 令和〇年〇月吉日
- 令和〇年正月
④ 人や財産をはっきり書く
誰に財産を渡すのかを、はっきり書くことが大切です。
例えば相続人を書く場合は、次のように書きます。
- 妻 〇〇〇〇(生年月日)
- 長男 〇〇〇〇(生年月日)
不動産を書く場合は、土地の番号や建物の番号など、
できるだけ正確に書くことが大切です。
3.シンプルな遺言書の例
とてもシンプルな遺言書の例を紹介します。
「遺言者のすべての財産を、妻〇〇〇〇(生年月日)に相続させる。」
このように書くことで、すべての財産を1人に相続させることができます。
相続人に財産を渡すときは、
**「相続させる」**という言葉を使うのが一般的です。
反対に、相続人ではない人に財産を渡す場合は
**「遺贈する」**という言葉を使います。
4.遺言書を書くときの注意点
遺言書を書くときは、次の点に注意しましょう。
① 遺言書は1人で作る
法律では、2人以上が同じ遺言書を書くことはできません。
例えば、夫婦が1枚の紙に一緒に遺言を書くことはできません。
② 動画だけの遺言は無効
最近は動画で意思を残す人もいますが、
動画だけでは遺言書として認められません。
ただし、遺言を書いた理由などを動画で残しておくと、
後でトラブルになったときに参考になることがあります。
③ あいまいな言葉を使わない
遺言書では、はっきりした言葉を使うことが大切です。
例えば次のような言葉は避けたほうがよいでしょう。
- 財産を任せる
- 財産を渡す
- 財産を管理させる
これらの言葉は意味があいまいで、
相続手続きができなくなる可能性があります。
5.遺言書は封筒に入れて保管する
法律上、自筆証書遺言は封筒に入れなくても問題ありません。
しかし、内容を他の人に見られないように、
封筒に入れて保管することが一般的です。
封筒の表には
「遺言書 在中」
などと書いておくとよいでしょう。
また、封筒をのりで閉じて印鑑で封をしておくと、
勝手に開けられる心配も少なくなります。


