1-3-1.はじめての遺言書|自筆証書遺言の書き方をわかりやすく解説

1.まずは自筆証書遺言を書いてみましょう

人が亡くなると、その人の財産は家族などの相続人に引き継がれます。
そのとき、誰がどの財産を受け取るのかを話し合って決めます。
この話し合いを遺産分割協議といいます。

しかし、すべての家庭でスムーズに話し合いができるとは限りません。
次のような場合は、遺産分割協議が難しくなることがあります。

例えば次のようなケースです。

  • 相続人の1人と長い間連絡が取れない
  • 相続人どうしの仲が悪く、話し合いにならない
  • 相続人の1人が認知症や病気で意思表示ができない

遺産分割協議は、相続人全員の同意が必要です。
つまり、相続人が5人いれば、5人全員の同意が必要になります。
1人でも同意しない人がいると、話し合いは成立しません。

その結果、銀行の預金を引き出すことや、不動産の名義変更ができず、
財産が何年もそのまま放置されてしまうこともあります。

このようなトラブルを防ぐために役立つのが遺言書です。

遺言書があれば、亡くなった人の意思にしたがって
財産の分け方を決めることができます。
そのため、相続人どうしの争いを減らすことにもつながります。

遺言書にはいくつか種類がありますが、
一番手軽に作れるものが自筆証書遺言です。

まずは、難しく考えすぎず、
自分の考えを書いてみることが大切です。

2.自筆証書遺言の基本ルール

自筆証書遺言を書くときは、いくつかのルールがあります。
このルールを守らないと、遺言書が無効になることもあります。

① 自分で手書きする

自筆証書遺言は、基本的に自分で手書きします。
本文、日付、氏名はすべて自分で書きます。

パソコンで作った遺言書は、原則として認められません。

② 押印をする

遺言書には印鑑を押します。
認印でも問題ありませんが、実印を使うとより安心です。

③ 日付を正確に書く

遺言書には必ず日付を書きます。
日付はとても重要なポイントです。

例えば、遺言書が2通見つかった場合、
新しい日付の遺言書が有効になるからです。

そのため、必ず年月日まで書きます。


・2024年1月15日
・令和6年5月30日

次のような書き方は無効になることがあります。

  • 令和〇年〇月
  • 令和〇年〇月吉日
  • 令和〇年正月

④ 人や財産をはっきり書く

誰に財産を渡すのかを、はっきり書くことが大切です。

例えば相続人を書く場合は、次のように書きます。

  • 妻 〇〇〇〇(生年月日)
  • 長男 〇〇〇〇(生年月日)

不動産を書く場合は、土地の番号や建物の番号など、
できるだけ正確に書くことが大切です。

3.シンプルな遺言書の例

とてもシンプルな遺言書の例を紹介します。

「遺言者のすべての財産を、妻〇〇〇〇(生年月日)に相続させる。」

このように書くことで、すべての財産を1人に相続させることができます。

相続人に財産を渡すときは、
**「相続させる」**という言葉を使うのが一般的です。

反対に、相続人ではない人に財産を渡す場合は
**「遺贈する」**という言葉を使います。

4.遺言書を書くときの注意点

遺言書を書くときは、次の点に注意しましょう。

① 遺言書は1人で作る

法律では、2人以上が同じ遺言書を書くことはできません。
例えば、夫婦が1枚の紙に一緒に遺言を書くことはできません。

② 動画だけの遺言は無効

最近は動画で意思を残す人もいますが、
動画だけでは遺言書として認められません。

ただし、遺言を書いた理由などを動画で残しておくと、
後でトラブルになったときに参考になることがあります。

③ あいまいな言葉を使わない

遺言書では、はっきりした言葉を使うことが大切です。

例えば次のような言葉は避けたほうがよいでしょう。

  • 財産を任せる
  • 財産を渡す
  • 財産を管理させる

これらの言葉は意味があいまいで、
相続手続きができなくなる可能性があります。

5.遺言書は封筒に入れて保管する

法律上、自筆証書遺言は封筒に入れなくても問題ありません。
しかし、内容を他の人に見られないように、
封筒に入れて保管することが一般的です。

封筒の表には

「遺言書 在中」

などと書いておくとよいでしょう。

また、封筒をのりで閉じて印鑑で封をしておくと、
勝手に開けられる心配も少なくなります。