予備的遺言も付け加える
いろいろな想定を考える
例えば、夫が妻に全財産を相続させる旨の遺言書をつくっていたとして、夫が先に妻が亡くなってしまった場合はどうなるでしょうか。
遺言書で遺産を「相続させる」とした相続人が遺言者の死亡以前いなくなっていた場合、基本的には、遺言書でそのこと記載した部分は効力が発生しません。
つまり、妻が先に亡くなっていた場合「遺言者の有する一切の財産を遺言者の妻〇〇〇〇に相続させる」という遺言は無効となり、遺言書のなかった状態と同じなり財産の相続手続きには夫の相続人全員による遺産分割協議が必要になります。
それでは、遺言者の意図は外れてしまいます。
予備的に遺言を記載しておく
ここで名称通り「予備的」(当該遺言がかなわなかったときの予備として)に遺言を調整していきます。
上記の例では、夫が遺言書をつくるときに、妻が亡くなっていた場合のことも記載しておくことで問題を解決できます。
妻が亡くなっていた場合は、全財産を長女に相続させたいのであれば、「遺言者の死亡以前に前期妻〇〇〇〇が死亡していた場合は、遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、遺言者の長女〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる」と遺言書に記載します。
このような遺言を、「予備的遺言」とか「補充遺言」などと言います。
遺言者と配偶者が同時に亡くなる可能性もあるので、予備的遺言を記載する際は「遺言者の死亡以前に~」という表現を使うことが好ましいです。
なぜなら、数人の人が亡くなり、これらの人の死亡時期の前後が不明の場合、これらの人は同時に死亡したものと推定されますからです。
自筆証書遺言の変更方法
自筆証書遺言を書いていると、途中で書き間違えることがあります。
その場合、勝手に書き直したり、修正テープで消したりしてはいけません。
実は、遺言書の内容を変更する方法は民法で決められています。
ルールを守らないと、その変更は無効になることがあります。
遺言書を変更する基本ルール
遺言書の内容を削除したり、書き加えたり、訂正したりする場合は、次の方法で行います。
- どこを変更したのかをはっきりさせる
- 「ここを変更した」ということを書き、署名をする
- 変更した場所に印鑑を押す
印鑑は、最後の署名の横に押したものと同じ印鑑を使うほうが安心です。
もしこの方法を守らなかった場合、
その変更はなかったものとして扱われる可能性があります。
書き間違えた場合の考え方
遺言書の変更方法はありますが、
実際には書き直すほうが安全な場合も多いです。
なぜなら、修正した部分があると、あとで
- 誰かが書き換えたのではないか
- 偽造ではないか
という争いになることがあるからです。
そのため、遺言書を書くときは
- まず下書きを作る
- 内容をよく確認する
- そのあとで清書する
という方法がおすすめです。
少し手間でも、間違えないように丁寧に書くことが大切です。
変更するときの書き方
遺言書の変更には、次のような書き方がよく使われます。
① 削除する場合
消したい文字に二重線を引いて消します。
② 追加する場合
追加する場所に「{」などを書き、
そこに新しい文字を書き加えます。
③ 訂正する場合
間違えた文字に二重線を引き、
その近くに正しい文字を書きます。
そして、その変更について
「〇字削除、〇字加入」などと書き、署名と押印をします。
遺言書が複数ページになる場合
遺言書の内容が多いと、紙が2ページ以上になることがあります。
その場合は、ページの入れ替えを防ぐために、
次のような方法を取ると安心です。
- 用紙をホチキスでとめる
- ページのつなぎ目に**契印(割印)**を押す
契印とは、ページの境目に印鑑を押して、
あとからページを差し替えられないようにする方法です。
法務局に保管する場合
最近は、自筆証書遺言を法務局に保管してもらう制度があります。
この制度を利用する場合は、
- ホチキス止め
- 契印
などは必要ありません。
なぜなら、法務局で保管されるため、
ページの差し替えや改ざんの心配が少ないからです。
遺言書を書くときに大切なこと
遺言書はとても大切な書類です。
そのため、次のことを意識すると安心です。
- 下書きを作ってから清書する
- 書き間違えないように丁寧に書く
- 内容をしっかり確認する
少しのミスでも、あとで大きなトラブルになることがあります。
正しいルールで遺言書を作ることがとても大切です。


