遺言書保管制度における遺言書は紙とデータで保管される
「遺言書」と聞くと「用紙」で保管するくらいしか思い浮かばなかったと思います。
昨今の行政のデジタル化政策において例にもれず遺言書の保管も「データ(情報)」で保管されることになっています。
遺言書をデータ保管するための理由
法務局は磁気ディスク(※記憶媒体のこと)をもって調整する遺言書保管ファイルによって管理することが法律に定められました。(法7条2項)
このように定められたのも昨今、行政にもデジタル化急速に進んでいることや紙による管理により数段コストパフォーマンスがよいこと、また万が一災害など不測の事態に対応できるなどメリットが大きいためでしょう。
法務局で保管されるデータの内容
法務局で保管されるデータは次の通りとなります。
・遺言書の画像情報
・下記の各事項
①遺言書に記載されている作成年月日
②遺言者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)
③遺言書に次に掲げる者の記載があるときは、その氏名又は名称及び住所
イ 受遺者
ロ 民法1006条第1項の規定により指定された遺言執行者
・遺言書の保管を開始した年月日
・遺言書が保管されている遺言書保管所の名称及び保管番号
これらの保管情報は、「遺言書情報証明書」として、遺言者の死後、遺言書の相続人等が交付請求できます。
遺言書の保管期間
法務局での遺言書の保管は、無限に続くわけではなく有限です。
法律・政令で定められた期間が経過したら、保管されていた遺言書は廃棄され、遺言書保管ファイルは消去されることがあります。
遺言書保管制度における遺言書の保管期間
法務局で保管されることになった遺言書(紙)は、
遺言者の死亡の日から50年経過
したら、法務局はその遺言書を廃棄することができます。
また、遺言者の生死が明らかではない場合は、遺言者の出生の日から起算して120年の経過したのち、50年がたてば廃棄することが可能です。(法6条5項、政令5条)。
このくらいの期間保管すれば、相続に関する紛争を防止できると考えられているのです。
なお、条文上は、50年経過したら「廃棄される」ではなく、「廃棄することができる」とされているのは50年後の技術革新など想像を超える技術などで保管することが可能になったり何らかの事情で遺言書を保管することが必要になったりすることがあるからです。
つまり、50年経過後は法務局に遺言書の廃棄の裁量を与えたのだと思います。
(戸籍等も廃棄の期間が法定されていたが廃棄されていない役所も数多く存在する。)
「遺言書保管ファイル」の管理機関
遺言書(紙)そのものと異なり、遺言書保管ファイル(データの遺言書)は場所を取らないため、その管理の期間は長く設定されています。
遺言書保管ファイルのの管理期間は
遺言書の死亡の日から150年経過
したら、遺言書保管官はその情報を消去できます(法7条3項、政令5条2項)。
また、遺言者の生死が明らかではない場合は、遺言書の出生の日から起算して120年を経過し、更に150年経てば消去することが可能です(法7条3項、政令5条)。

